1.結成のきっかけ
私達は、一般財団法人ヤマハ音楽振興会(以下、「ヤマハ」とする)に所属し、ヤマハ音楽教室やヤマハミュージックレッスンで音楽を教えている音楽講師です。「多くの人々へ音楽の持つ力の素晴らしさを伝えたい」という思いで日々働いています。
私達の組合結成のきっかけはコロナ禍でした。2020年初頭から始まったコロナ禍により、レッスンが約3か月間休講になりました。ヤマハからの一方的な通達で休講が決まり、実質的な補償がなく仕事ができなくなりました。私達は、ヤマハの通達一つで生活に大きな打撃を受け、自分たちがどれだけ弱い立場にあるのかを思い知らされたのです。
これまでも、ヤマハの方針や働き方に対して意見を言いたいことはありました。しかし、「こんなことを言ったらレッスンを減らされてしまうのではないか」という心配から意見が言えず、ヤマハや特約店の一方的な決定に講師が従う関係にありました。個人事業主であれば、ヤマハと対等な立場で交渉できなければならないはずなのに、それが実現できていなかったのです。
私達は、コロナ禍により今までにない生活破壊の危機に直面し、ヤマハと対等な立場で交渉する取組みが必要と考え、労働組合の結成を目指して集まりました。
2.音楽講師が安心して働ける環境作りへ
私達は、音楽講師が抱えている問題を把握するため、音楽講師に対するアンケート調査を実施しました。大きな関心を集めていたのが、レッスン外の様々な業務に対して報酬が支払われていないことや、レッスン中・通勤中の怪我・病気に関する補償についてでした。
(レッスン外の業務に対する報酬について)
私たちの仕事は、レッスンだけではなく、レッスン前の準備、発表会の準備・本番、講師会議への参加など、多岐にわたります。しかし、私達に支払われる報酬は基本的にレッスンに対するものしかありません。これらの無報酬の労働に相当な時間を取られるケースも多く、報酬額が割に合わないものになっています。私達は、ヤマハに対し、これら無報酬の労働をなくし、適切な報酬が支払われるように求めるとともに、特約店によって対応が異なることのないよう、統一的なルールを作ることを求めます。
(怪我や病気に関する補償について)
私たちが仕事をする上では、怪我・病気のリスクが避けられません。ヤマハ音楽振興会に対して、仕事を原因とする怪我や病気に対して適切な補償を行うよう求めます。
(その他の問題)
これらの他にも、災害等の不測の事態が生じた際の対応や補償、ヤマハや特約店からのハラスメント、講師報酬額の基準の曖昧さ等、様々な問題が生じています。
私達は、これらの問題についてヤマハと交渉し、音楽講師が安心して働ける環境を作ることを目指します。
3.最後に
私達が携わる音楽教育は、趣味を通じた生きがい作りや子供達の人格形成に大きな影響を及ぼしています。私達自身が生徒から学ぶことも多く、音楽の持つ可能性を実感させてくれる充実した仕事です。今の不安定な世界の中で、音楽はより一層人々の心に影響を与えていくでしょう。私達は、このような仕事に携われることに誇りを持っています。
しかし、その一方で、働き方に疑問を感じ、去って行った音楽講師も少なくありませんでした。働き方に不安を抱えながら働く状況を見直し、音楽講師が安心して働ける環境を作り、私達がより一層仕事に誇りをもって働けるようにしなければなりません。
全国の音楽講師が安心して生き生きと働き続けられるように、周りの人に自信をもって自分達の仕事を紹介できるように、ヤマハ音楽講師ユニオンを結成します。
私達の力を結集して、一緒に進んでいきましょう。
2020年11月19日
ヤマハ音楽講師ユニオン
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